民具研究

『民具研究』139号記事<「沖縄の紙を考える会」活動について>

Photo_3 2008年12月8日(土)9日(日)にお茶の水大学で開催された日本民具学会で、テーマ「沖縄の紙文化のあり様」で発表した際、事務局をつとめる「沖縄の紙を考える会」の活動を少し紹介した。
 発表後会誌編集事務局から、会の活動について報告してほしいとの旨依頼を受けたので、小文を寄せた。
 日本民具学会誌『民具研究』第139号(2009年3月発行)の<ひろば>コーナーに、<「沖縄の紙を考える会」の活動について>3P。
 今回は紙面の都合で、2003年~2007年度の展示会開催の情報のみ報告しました。
 

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鹿児島市中央公民館ー鹿児島民具学会会場

Photo_2  3月7日(土)午後に鹿児島民具学会で発表してきました。
 会場の鹿児島市中央公民館は国登録の文化財。
1927(昭和2)年に建築され、当時は九州一の公会堂として有名でした。
 現在でも概観は当時のまま…。
こうした近代建築遺産は、現在でも使用されていることに感激…。
 建物の中は、それなりの古さで…でも、やはり感激でした。
 鹿児島にはステキな近代建築が現役で多く残っています。鹿児島県民にとってはやはり<近代>が重要な歴史的ポイントだからでしょうか?。
 中央公民館は、美術館(近代~現代作品中心)や図書館、黎明館、公園、西郷隆盛銅像のある、かごしま文化ゾーンに在ります。

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鹿児島民具学会ー鹿児島の錫文化

 1月に沖縄民俗学会で発表した、「南九州と沖縄の錫文化」を、鹿児島民具学会で発表します。
 鹿児島での調査をかねた参加です。
 80年代後半に学生時代に過ごした鹿児島。卒業後何度か訪れていますが…。ようやく鹿児島と沖縄をつなぐ独自のテーマが見つかっての、研究発表ができることを楽しみにしています。精力的な民俗学者の恩師・下野先生に、未熟な内容でのお叱りをおおいに期待しながら…。地元研究者のご意見も伺えるかと…楽しみです。
鹿児島民具学会の3月例会は、HPでも確認できます。

*粟国恭子「鹿児島と沖縄の錫文化」
*日時:2009年3月7日(土)午後1時30分~4時30分
*場所:鹿児島市中央公民館

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南九州・沖縄の錫文化

 沖縄民俗学会1月例会(1月24日土午後4時~ 沖縄県立芸術大学 一般教育棟教養103教室)で発表しました。
 発表タイトルは「南九州・沖縄の錫文化ー技術の系譜ー」です。
 「琉球の錫」という小文を書いて10年目。沖縄の文化・工芸分野で研究者も少ない金属文化の研究発表です。
 以外と琉球・沖縄の錫文化は歴史も古く16世紀には文献に登場してきます。古くはマラッカ・中国の錫、近世期には薩摩の谷山錫山の錫を輸入し、錫文化を育みました。10年ほど金属文化に視点を当てた研究を続ける中で、今回は、近世の鉱山技術史及び薩摩・鹿児島の錫文化を絡めて、琉球・沖縄の錫文化をとらえました。
 鹿児島での調査成果発表が中心で、鹿児島でも金属文化研究は少ないので、3月には鹿児島民具学会で発表します。

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「沖縄の紙文化のあり様」

 2008年12月8日(土)9日(日)にお茶の水大学で開催された日本民具学会に参加しました。
課題発表テーマが「紙」だったので、沖縄の紙を考える会の活動をしている私としては、ぜひ発表を…と思いました。
 発表テーマは「沖縄の紙文化のあり様」と大風呂敷を広げた感のあるタイトルでしたが、内容は東アジアの紙文化にもつながる紙銭文化、祭事に使われる白赤黄の紙などなど、現代の生活で使用される紙を紹介しました。参考資料として、粟国恭子監修の『沖縄の工芸 紙』冊子を配布資料にしました。
 他の発表者は、紙布の研究者、チラシ情報を読み解く研究者などまじめな若手研究者が発表していました。

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『すぐわかる沖縄の美術』刊行

Photo 2007年11月10日に東京美術から『すぐわかる沖縄の美術』が刊行されます。
 本書の特徴は、沖縄工芸の分野、琉球王国時代の絵画、近代以降の絵画・デザイン、建築、民俗文化の<美術>を最新の研究成果をふまえ、沖縄の若手研究者が執筆を担当している点と、沖縄県立博物館・美術館、沖縄県立芸術大学、那覇市歴史博物館、壺屋博物館や県外の各機関の所蔵品が、豊富にフルカラー図版で紹介・掲載されています。
 監修は、宮城篤正(沖縄県立芸術大学学長)、後の執筆者は小林純子(芸大芸術学准教授)、宮里正子(那覇歴史博物館学芸員)、倉成太郎(壷屋博物館学芸員)、平川信幸(沖縄県立博物館学芸員)、翁長直樹(沖縄県美術館学芸員)そして私は、「グスク、首里城、庭園、民家、金工、民藝運動と沖縄の民具」の執筆を担当しました。GWに識名園や中村家、勝連グスク、中城など写真を撮りにいったりしてました。
 本の構成は、第1章漆芸、第2章染物、第3章織物、第4章焼き物、第5章絵画、デザイン、第6章建築・彫刻・民具です。
 編集者の日本アート・センターの島田さん(女性)が大変優れた編集者で、やってよかったなー思う仕事でした。
 『すぐわかる沖縄の美術』は県内書店、県立美術館ミュージアムショップで購入可能の予定です。県外では書店のほか、東京国立博物館、九州国立博物館などの県外の博物館・美術館のミュージアムショップでも購入できるようです。Photo_2   

本の帯には2007年11月1日にオープンする沖縄県立博物館・美術の館見学の前後におすすめの本とありました。

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『伊是名村銘苅家の旧蔵品および史料の解説書』

Photo_10 『伊是名村銘苅家の旧蔵品および史料の解説書ー公事清明祭をめぐる公文書とご拝領の品々ー』
 発行日:2007年1月  139P
 発 行:伊是名村教育委員会
      沖縄県伊是名村字仲田1385-1
     電話0980-45-2318
 編集:株式会社 国建
 目次:1、本書の背景ー尚円王を追憶する王国の論理ー
     2、銘苅家美術工芸品の解説
      *漆器(上江洲敏夫)*金工(粟国恭子)
      *陶器(津波古聰) *染織(与那嶺一子)
   3、公事清明祭に関する銘苅家文書の解説(高良倉吉)
   4、その他の銘苅家文書の解説(村史掲載資料)  (高良倉吉)
   5、伊是名玉御殿調査概報 (高良倉吉、安里進、田名真之) 
   コラム
  
 琉球国第二尚氏の尚円王の出身島、伊是名島は、首里城から遠きにありながらその存在は琉球王府にとっては重要な島であった。文献資料、王家ゆかりの墓、そして祭祀用具の品々が残っている。それらを写真や図などを多用しビジュアル化した上で、村史発行以後の最新の研究成果を元に作成された解説書。編集を担当している国建の西村氏(文化人類学)、大城涼子氏(歴史学)の力量も存分に発揮されている。
 金工品の解説を担当した。文書に見られる重要な金工品は多くは残っていないが(簪や耳盃など)、王府祭祀における金工品、香炉、茶道具などの解説を執筆。
 伊是名村教育委員会では、有料(2000円?)で販売している。問い合わせは村、教育委員会まで。
    

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書評『雲南農耕文化の起源ー少数民族農耕具の研究ー』

1999(平成8)年7月18日『琉球新報』書評欄掲載
書 評  『雲南農耕文化の起源―少数民族農耕具の研究―』
     尹 紹亭 著    李 湲 訳      上江洲均  監修・解題
      
 「どのように食物を生産するのか」の問いは、その土地に生きる人々の生活技術という、最も重要な「知」の在り方を問う事にほかならない。
   本書は、中国の民族学・農業生態学を専門とする研究者(現在雲南民族博物館勤務)によってまとめられた『雲南物質文化』(雲南教育者出版社)シリーズ『農耕巻上・下』の翻訳本である。決して多いとはいえない中国物質文化・民具研究の、本格的で優れた研究に、中国での出版から三年を待たずに触れることが出来た。
 中国西南部に位置する雲南省は、中国の諸民族(55)の約半数を確認できる少数民族の多い社会である。民族間の農耕文化比較の視点が可能な空間、そして隣接するベトナム・ラオス・ミャンマー等の東南アジアの農耕文化をも俯瞰できる場所でもある。雲南の農耕文化研究は、一地域にとどまらず、中国そして東南アジアの農耕文化理解への示唆を十分に与えてくれる。
  「刀斧、竹木鍬・鉄鍬、犁、耖と耙、播種と灌漑用具、蘿(ざる)・籃(かご)・馬幇・車・船などの運搬具、収穫具、穀倉と臼」の農耕具が取り上げられている。千枚を越える写真、古図・実測図等の挿図で、”モノ”と使用する人との関りを、読み物とは異なる手法で雄弁に説示する。各農具は「構造や形態、構成部品の名称、機能及び使用方法、構造と形態の分類、地理的分布の考察・確定」が明確な資料分析方法で整理される。さらに著者の「考古学・農史学、民族史及び民族学資料に配慮し、各具の歴史的根拠、伝播経路、変遷過程及び発展の傾向を探る」という物質文化の学際的・体系的分析研究への意識的な試みを見る。こうした物質文化と対峙する手法は、学ぶべき点が多い。
  翻訳本の監修・解題は、沖縄をはじめとし、日本、台湾、韓国、中国の民具研究に取り組む上江洲均氏。「南九州から南西日本の民具には雲南の少数民族のものと共通するものが多い」ことを実感として語れる存在は、日本農耕文化と比較する視点を解題に取り込んだ。原著の持つ雲南農耕文化の枠を越え、「日本農耕文化の起源」のテーマを立ち上がらせる重要な成果として、新たな意義や位置づけを本著に加えている。沖縄の農耕文化・農具研究においても必読すべき書といえよう。
       (第一書房   1999年5月18日発行  626頁  定価・1万円)

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