2024年回顧ー沖縄文学・思想家の永眠➀
宮古出身の大先輩川満信一さんが永眠されました。1995年頃「沖縄タイムス」)紙面で対談した。その後も何度か会談の末席に参加させていただきました。生前 (故)比嘉加津夫さんが編集発行する『脈94号ー特集 沖縄の詩人・思想家 川満信一』(2017)にも寄稿しました。合掌。
川満信一(かわみつしんいち、KawamituShinichi)1932年ー2024年6月29日永眠享年92。沖縄県宮古島市(旧平良市)久松出身。沖縄の思想家、評論家、ジャーナリスト(元沖縄地元紙『沖縄タイムス』記者)。生涯沖縄の文学出版文化に貢献。学生時代から共に活動してきた新川明(思想家、ジャーナリスト、元沖縄タイムス社社長)と川満の存在を作家・島尾敏雄は「双頭の鷲」と語る。
<経歴>
• 沖縄戦を経験し琉球大学在学中に新川明、岡本恵徳らと『琉大文学』創刊に関わる。
• 1950年代ー琉球大学卒業後、高校教員から沖縄タイムス社入社。米国占領下の1950年代に米軍基地建設における伊佐浜土地闘争で敗北した住民たちが南米へ移民していくことを見送る経験を持つ。
• 沖縄タイムス社入社後、宮古支局出向時に平良恒二や仲宗根將二らと交流し同人誌『カオス』創刊に関わる。その後鹿児島支局長時代には島尾敏雄らと交流<ヤポネシア>の思想に影響を受ける。文化事業部では『新沖縄文学』編集長(計20号担当)、『沖縄タイムス大百科事典』(編集上間常道中心)発刊事業にも関わる。その後「文学賞や出版文化賞」事業を展開する文化事業局長を務める。
• 太平洋戦争後、米国施政権下の続く沖縄で、1960年代から国家の問題、琉球処分から沖縄戦、天皇制、復帰運動への問う言論を展開。60年代後半から新川明、岡本恵徳(琉球大学教員)らと<反復帰・反国家>論を展開する。
• 退職後は、個人紙『カオスの貌』(小冊子 12冊)を自費出版し続け、詩作と評論を発表する。
• 2024年11月9日 生前幅広い交流していた友人たちによる「川満信一さんを偲ぶ会」(呼びかけ人代表・新川明、仲宗根勇、仲程昌徳、仲里効、喜納昌吉、ローゼル川田ら)
<著作>
• 1978年 詩集『川満信一詩集』(オリジナル企画)
• 1978年 『沖縄・根からの問い』(泰流社)
• 1981年 バレエのための台本『あこうの木物語』
• 1987年 『沖縄・自立と共生の思想』 (海風社)
• 1987年 『四季』
• 1988年 『ザ・クロス 21世紀への予感 川満信一対談集』(沖縄タイムス社)
• 1994年 詩集『世紀末のラブレター』
• 1995年 『川満信一コラム文庫』Ⅰ~Ⅲ(エポック)
• 1995年 『マホナり』
• 1996年 『黒潮の道』
• 2004年 『宮古歴史物語』(沖縄タイムス社)
・2014年 共編著『琉球共和社会憲法の潜勢力ー群島・アジア・越境の思想』(川満信一・仲里効編、未來社)
• 2022年 川満信一編『復帰50年の記憶』(藤原書店)
<川満信一関連文献>
*仲里効『オキナワ、イメージの縁(エッジ)』(2007年、未來社)
*比嘉加津夫編『脉4号ー特集 沖縄の詩人・思想家 川満信一』(2017年 脉発行所) 川満信一年譜が充実。
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