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2007年4月20日 (金)

「唐獅子」・「<香り>雑感」

「空飛ぶ線の動揺」シリーズ10 「〈香り〉雑感」
                         
 いつ頃からか気分を落ち着かせたい時、特に読書をする時に〈香〉を薫くようになった。当初友人達は、この習慣を「弱齢らしからぬ」と戸惑いの色を隠さなかった。何時の間に寛容になったのか、嗅覚が慣れたのか、効能に目覚めたのか、今では愛好者が二、三人程いる。
 また最近ではエスニックブームということもあって、色々な種類の香が市販され簡単に手に入る。日本従来の香というよりもインド産、中国産の物が多い。時折、若者が多く集まる空間にその香りをひろうことがある。 
 香の原料は、動物性の麝香、植物性の沈香、百檀、丁字、伽羅等の天然の物と樟脳等の人造香料にわかれている。その配合は国によって違いが出てくる。あくまでも個人的な印象だが、インド香は比較的〈重い〉香りがするし、中国産の香は、空間に〈静かに溶け込む〉嫋やかさを持っている。特に沈香系と百檀系の香りを持つ中国の香は絶品だと思っている。これらの原産国による違いは、気温・湿度に関係しているのではないだろうか。
 沖縄での香作りは、16世紀中頃に始まったといわれる。沖縄の伝統的な香(ヒラウコー)は、香りの存在が乏しい。しかし王家御用達の物〈官香〉には丁子等の香料が入っていた。現在と違って、香料が輸入の天然物に限られていた時代は、この種の〈香り〉は特権階級のものであったといえる。
 庶民の〈香り〉はどうだろうか。沖縄では50種以上の香料植物のうち15種程が使用されているという。その中でタブノキは平御香(ヒラウコー)に使用され、モロコシソウ(方言:ヤマクニブー)は防虫効果を箪笥の奥で発揮している。またご存じ月桃(サンニン)はムーチーをはじめ賦香剤として食物を包むのに使用している。ちなみに最近は〈月桃香〉も販売されている。こうしてみると沖縄の独特の〈香り〉は、生活に不可欠で、我々を最上に酔わせていたことに改めて気づいた。
                         1990年11月8日(木)「沖縄タイムス」掲載

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