現代の東アジアの民族問題
1992年~93年頃に、よく聞いていた曲に中島みゆきの「EAST ASIA」
がある。
このごろの多く報道されるチベット問題に触れて、思い出し、ここ数日間よく聞いている。
中島みゆきの特別なファンというわけではないので…この曲の成り立ちにまつわる話はわからないが…聞いているとチベットとか中国の少数民族とか朝鮮民族の歴史とか沖縄のこととか…考えてしまいます。いい歌です。
チベットととかウイグル自治区の問題とか以前から興味があり、大学の講義とかでも取り上げている。
曲を聴きながら、本棚から関連本を取り出し読んでいる今日この頃。
チベット問題も含めて、中国の55の少数民族は21世紀どのような展開をみせるのか。
チベットではここ2,3年で100近いホテルが建設され観光化、観光産業が活発に展開されている。でもその資本源は上海あたりで富を持った漢民族の資本家がオーナーで…チベット人を雇用している。チベット内の漢民族とチベット民族の中の経済的格差は計り知れない。
生活のためにホテルなどで働くチベット人たち…それまでのチベット人の価値観で重要でなかった競争、賃金の能力給制、その格差…に向き合う現代。NHKが昨年この問題を特集で取り上げた番組があった。
その中では、漢民族のオーナーがホテルのインテリアだとか土産物にチベットの古い民具や仏具などを過疎化が進む村の人々から買い集め、<チベット仏教のイメージ作り>にいそしむ姿も…それを喜んで購入する日本人観光客。
現在のチベットには、歴史の政治的抑圧に加えて、資本主義と観光化の中での経済格差から生まれる抑圧の部分もあるのではないかと考える。
ダライ・ラマが「非暴力」を訴えても、生活レベルの格差から生まれる不満を抑えることは可能なのだろうか?
数日後に聖火は、日本にやってくる。
チベット問題を考えながら、沖縄問題を考えている。
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