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2010年10月 5日 (火)

屋嘉比収 氏追悼

Photo  9月30日に沖縄の近現代・思想・文化のオピニオンリーダー的存在だった屋嘉比収氏が亡くなった。享年53歳。2年ほどの闘病生活の中で精力的に著作や新聞紙面・雑誌などに文章を寄せていた。
 53歳は早すぎると…やりきれない思いも重なります。
告別式でご子息が「自宅療養を望んだ父は、病床でも原稿の校正作業をしたりして、最後まで家族に見守れながら充実した人生だったと思います」としっかりと話されていた言葉で、その死をきちんと受け入れた。

 この3月上旬にご本人から電話があり新著『<近代沖縄>の知識人 島袋全発の軌跡』の書評の依頼を受けた。(2010年3月28日『琉球新報』/ryukyushimpo.jp/news/storyid-159927-storytopic-90.html)。
(このブロクでも紹介しました)
 つたない文章に掲載後丁寧なお礼と共に励ましの言葉もメールでいただいた。とても謙虚な丁寧な方で…。慕う後輩達も多かった。

 屋嘉比さん(当時33歳)との交流は、彼が1990年『新沖縄文学N086』で、沖縄国際大学時の恩師の<玉野井芳郎と沖縄>特集に文章「玉野井理論における方法的視座の転換」と座談会の司会役(「地域自立と環境の危険をめぐって」宇井純・多辺田正弘)などしていた頃から…
 氏が那覇市史編集の仕事に携わり、まだ九州大学博士課程に進学する前だった。恩師・玉野井氏が提起した生命系の経済学(エコロジーやエントロピーの理論)や、地域主義の志向、ジェンダー問題と幅広い理論に触れ、その継承を志した若き研究者だった。氏の幅広いテーマでの言論活動に大きく影響した仕事としてこの特集号は重要である。彼の友人の渡久地健氏(地理学)もその特集には重要な役割をしており、二人の交流は<玉野井芳郎>の学問を通して深化していく。
 その頃、私は大学院を修了したばかりの若輩で、当時沖縄タイムス紙面で担当していた唐獅子の小文に対しても丁寧に感想を寄せてくれ、その後も機会がある度に励ましの言葉をかけてくれる先輩でもあった。
約20年ほどの交流ということになる。
 その後私が浦添市立図書館沖縄学研究室に勤務していた時期には、氏は九州大学博士課程に進学し、帰省する際には沖縄学講座の講師(伊波普猷の命日・物外忌の8月に)をお願いしたり、紀要の原稿(本ブログで紹介した伊波普猷没50年記念特集号)を寄せてもらった。その原稿は、その後まとめられた博士論文の基的な性格を持った文章に位置づけられる。
 1993年には沖縄タイムス紙面で言論百年記念に特集が組まれ、沖縄の近現代言論人の年間連載企画で屋嘉比さんが島袋全発、私が末吉安恭(麦門冬)、伊佐眞一氏が太田朝敷その他10人ぐらいで1年半に渡って掲載し、勉強会なども開催したりいろんな議論をして交流があった。
 ここ10年ほどは、私が物質文化の調査研究に力点をおいていたので、テーマ性の違いから多くの場面で交流があったわけではないが、変わらず会えば励ましの言葉をかける優しい対応をいただいた。彼を知る人々のほとんどの人が持つ印象ではなかったか。
 「人格者で尊敬できる沖縄の知識人」の短い生涯…しかし、交流した多くの若手近代思想研究者のグループも活躍している点では、活動の根はしっかりと広がっている。
 
 心から、冥福を祈りたい。

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