「災害と民具」第133回日本民具学会研究会・沖縄民俗学会7月例会発表
今年は、3月11日の東北地方での大震災被害からはじまり、沖縄や日本各地で台風の被害で水害や土砂崩れが多い。地球温暖化と自然の力の前には、科学の進歩が生み出したものはなんともろいものかと思います。
夏の報告です。
7月23日(土)16:00~18:00(会場:沖縄県立芸術大学)には、第133回日本民具学会研究会と共催で沖縄民俗学会7月例会が開催され、コメント発表を行いました。
内容は、テーマ「災害と民具」で、以下の通り進行。
1)<開催主旨説明> 上江洲均(日本民具学会理事・沖縄民俗学会顧問)
発表者は以下の3人でした
①板井英伸(日本民具学会員・沖縄民俗学会員) 「災害と民具―原野農芸博物館の事例からー」
②前田一舟(沖縄民俗学会員)「災害からみる沖縄県の博物館と民具の問題」
③粟国恭子(日本民具学会員・沖縄民俗学会員)「災害と沖縄民具・物質研究の現状・課題」
モノ研究(工芸研究は別として)を研究テーマにする研究者も少ない状況で、災害をキーワードに過去から繫がる暮らしと災害の問題、今日的問題としての民俗・民具資料を災害に向き合う時にどのような課題があるのかを、民俗学の立場から確認しました。
昨年の奄美地方の豪雨で被害を受けた原野農芸博物館の館長・職員の皆さんも、台湾研究者や、歴史分野の研究者の方の参加がありました。
3月11日以降、各地で災害と学問実践が問われるシンポジウムや集会も多く開催されています。
島嶼社会で亜熱帯である沖縄の空間は、過去も未来も同様な自然環境で、人々の暮らしの中で台風などと災害や津波など必然ともいえる状況。沖縄の重要な課題だと思います。生活が豊かになリ過ぎた現代は少し前のその被害と人々の苦悩をイメージできにくくなっているわけで…
会が終了してから夏休みの間1950年代60年代の沖縄の島々の生活誌を改めて読んでみると、私自身の中で希薄になりかけていた<島ちゃび(離島苦)>の暮らしがありました。この学問をする意味、役割を自身に問う時間でした。
この会の発表は、発表者3人で各人が原稿化する予定です。
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