展示会「東松照明と沖縄 太陽へのラブレター」
写真家・東松照明(1930-)の8年ぶりの沖縄での個展「東松照明と沖縄 太陽へのラブレター」が開催されています。
*会 場:沖縄県立博物館・美術館
*2011年9月23日(金)ー11月20(日)
*戦後日本の写真史に重要な足跡と沖縄写真家に影響を与えた東松の戦後日本の写 真、沖縄をとらえた写真、2011年に撮影された最新作まで240点(モノクロ128点、カラー112点)が展示。
チラシに採用された写真は、渡嘉敷で撮影(1973)された、白髪の女性が深い森の中へ歩いていく後ろ姿をとらえた一枚。沖縄を42年間取り続け、80歳を越えた東松の心情を象徴しているような写真が採用され、なかなか感慨深い。
Ⅰ~Ⅴ章で構成された展示空間はそれぞれのテーマで味わい深い。1950年代から70年代のあまりにも有名な東松作品はもちろんのこと、後半展示の大型カラープリント作品群は、強烈な日差しの中で鮮やかな色をあふれんばかりに放つ沖縄やアジア感をとらえて新鮮な色の隠喩性を印象付けられ楽しめた。
1969-1973年に撮影され写真集『太陽と鉛筆』作品中心のⅢ章では、「さびしさを思想化せよ」というテーマ。訪れた先島(宮古八重山)で「ひもじくないか」という声かけとともに宮古では「さびしくないか」の言葉をかけられた経験の中で東松が撮った島での写真群。強烈な太陽の元での<乾き>(自然や心情)の充ちた写真作品は宮古で撮影されたものに多い。写真集発刊当時から約40年の時間が流れた今日…東松作品と向き合う時その「さびしさを問うた」島の世界をどれほど手繰り寄せられるのだろうか。
10月30日(日)には関連シンポジウムも企画される。
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