朝岡康二『雑器・あきない・暮らしー民俗技術と記憶の周辺』
冶金学・鍛冶技術史専門の朝岡康二先生(国立歴史民俗博物館名誉教授・元沖縄県立芸術大学学長)の新著の紹介。
著者:朝岡康二 『雑器・あきない・暮らしー民俗技術と記憶の周辺』考古民俗叢書
慶友社(東京)、2011年8月19日発行
著者は日本民具学会・道具学会の会長も務められた<モノ研究>の重鎮の研究者です。
構成はⅠ職と職人・道具と民具、Ⅱものとわざの伝播 Ⅲくらしの場の変容と記憶 Ⅳ記録された技術 Ⅴもの・わざ・からだと資料化で、民具、道具の概念論から中国・ネパール・スペイン等の鍛冶技術や資料などの紹介、身体活動の画像デジタル化など幅広い内容が扱われており、素朴な表題につながりつつも、理論実践面の<モノ研究>の現代における可能性を示唆する興味深い内容です。民俗学研究や民俗記録デジタルデーター化などの面でも参考になります。
沖縄関係の論稿(近代の首里・那覇の町、八重山石垣の村落、宮古八重山の鍛冶関係資料とその中の技術について)も複数収録されているので以下紹介します。
Ⅲ、暮らしの場の変容と記憶
一、沖縄の「町」の形成
二、八重山の村落の変遷
Ⅳ、記録された技術
一、宮古・八重山の『鍛冶例帳』からみる材料鉄と鉄器加工技術
二、宮古・八重山の『鍛冶例帳』からみる鉄製品
沖縄の近代マチ・村落空間や先島の金属文化(鍛冶)研究の重要な文献です。
内容書評については、あらためて紹介します。
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