展示会「土門拳の昭和と沖縄」関連「土門拳の目」原稿
現在沖縄県立博物館・美術館で開催されている写真展「土門拳の昭和と沖縄」関連の原稿「土門拳の目 上・下」を「沖縄タイムス」に寄せた。(掲載は2012年6月6日(水)と6月7日(木)
土門拳は、戦前・戦後と活躍し、まさに昭和を撮った写真家である。
昭和15年に民藝運動を展開する柳宗悦が中心に呼びかけた「琉球観光団」(日本民藝協会主催)の26人の一人で、沖縄を訪れ写真を撮っている。
<剛>の人となりがにじみ出る作品群である。平安時代の仏像を撮影しても、風景を撮影しても<土門拳>色が強くでてくる。この昭和の巨匠は子ども達の元気なそして時代の中での社会問題の中にいる子ども達を多く撮影している。
まさに日本のエネルギー問題が石油に移行する時期に炭鉱町が経済的に疲弊していく。土門は「筑豊のこどもたち」の写真をのこした。その中の一枚。「弁当を持ってこない子」は事情を知らない人が観ると、何気ない小学校の昼食時間に見えるが、経済的な事情で弁当がもってこれない子ども達が暮らすに数人はいる。他ほ子ども達が弁当を食べている間絵本・雑誌を眺めている。土門の撮影に先生がその子ども達の顔を映さないでほしいと要望したらしい。空腹を我慢してその視線を開いた本から動かない子ども達。女の子が多いことがとてもリアルである。心から離れない一枚である。
展覧会は2012年6月24日まで
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