書評 金子豊編『松山王子尚順全文集』
近代沖縄を生きた最後の琉球国王・尚泰の四男・尚順が残した琉球文化に触れた文章及び書簡など資料全文集がようやく刊行された(榕樹書林)。沖縄地元の新聞『琉球新報』に書評を掲載(2014年3月16日・日)。
尚順は琉球国の王族として、近代には実業家・政治家・琉球新報社などの設立など様々な分野でその仕事を捉えなければならない人物である。しかしグルメ・趣味人・文化人としての注目すべき存在であり、この全文集はなかなか面白い。彼独自のこだわりや琉球文化の伝統について、沖縄を訪れる文化人との交流において興味深い記述に触れる。
資料を集め編集した金子氏とは面識がないが、その作業の恩恵を受けている一人として感謝の意を記したい。
尚順については、数年前(2012)、沖縄県立芸術大学附属研究所の文化講座「沖縄の美を発見した人々」で、担当(粟国恭子)したことがある。当時この本があればもう少し深く尚順の世界を紹介できたかもしれないと思う。
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